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2012年5月10日 (木)

マナガツオの煎り焼き、大豆ソース

120329  マナガツオは「西海にサケなく、東海にマナガツオなし」と言われるように、昔から主に西日本を中心に食されてきました。

 カツオが獲れる時期が旬で、カツオが獲れない瀬戸内海の一部地域では昔からマナガツオをカツオと呼んでいたそうです。ただし、名前はカツオでも、カツオの仲間ではなく、イボダイの仲間です。白身の魚にしては脂がのってしっとりとした食感で、昔から高級魚として珍重されてきました。中国料理でも潮州料理にマナガツオを素揚げにした名物料理があります。

 薬膳的な効能としては、マナガツオに限らず鯛などもそうですが、こういった白身の魚には共通して、胃腸のパワーを補い、気のエネルギーを増す作用があります。

 ところで、ここしばらく温度の変化が大きいですが、漢方では、外界の環境変化に順応するパワーは気のエネルギーとされています。更に、胃腸(と食べ物)は気の主な発生源ですので、こういった季節の変わり目に体調を崩しやすい方は、胃腸機能が低下している可能性が大です。

 また、特に胃腸機能が低下していない方でも、季節の変わり目には胃腸に負担とならない食事をこころがけるのが良いとされています。

 

 

 

2012年4月26日 (木)

うすい豌豆のスープ

120329_2 うすい(碓井)豌豆とは、和歌山をはじめ、主に関西で栽培されるエンドウ豆の一種です。豆の皮が柔らかく甘みもあって人気があります。

 写真は、鶏スープにうすい豌豆を裏ごししたもの、豆腐、キヌガサタケ、鯛の身が入っています。

 日本では、豌豆は絹さやにしろグリーンピースにしろ緑色の豆の状態で食べられますが、中国料理では、豌豆の若い葉っぱを豆苗(トウミャォ)と呼び、炒めものなどにされるほか、熟した豆をつぶして砂糖などと混ぜた豌豆黄(ワンドウファン)というお菓子は西太后も好んだことで有名です。

 また、薬膳的には、豌豆には胃腸を丈夫にしてむくみをとったり、母乳の出を良くする働きもあるとされています。(意外に思われる人が多いのですが、胃腸は水分代謝に大きく関係しており、1日に飲食物で胃腸に入ってくる水分は水やお茶などのほか、ご飯や野菜に含まれる水分の合計では2リットル程度ですが、唾液や胃液、胆汁や膵液などといった消化液などが1日に10リットル近く流れており、胃腸機能低下は顔や手足のむくみの原因となります)

 

 

 

 

2012年4月21日 (土)

食養生の本当の意味

 このブログでは、食養生と健康に関するテーマで記事を書いてきました。漢方的な考え方では、人が健康で生きていくためには、まず五臓六腑の中でも胃腸の機能が正常であることが最も重要であり、胃腸の機能を悪化させるような食べ物や食べ方を避けるべきであることを強調してきました。

 ところが、一般の受け止め方としては健康診断で胃腸に問題がないから大丈夫とか、ガスターやパリエットなどの胃薬を飲んでいるから胃腸の調子は安定しているから問題ないと安易に考えている人が多いことに驚かされます(健康診断でわかるのは胃腸の粘膜の状態が正常かどうかで、粘膜に炎症やポリープがないからといって胃腸機能が正常とは限りません)。

 そこで、漢方的な考え方では胃腸機能が低下した状態が続くと、どういった疾患につながると考えられているかを挙げておきます。今回は、胃腸機能低下と関連性のある疾患名だけを挙げておきますが、なぜそうなるのか漢方的な理屈は省きます。

 胃腸は気力の発生源として重要で、胃腸機能低下は気虚と呼ばれる状態の原因となることから免疫力の低下(=かぜやインフルエンザに罹患しやすくなるほか、長い目で見ればガンにもなりやすくなる)に直結します。

 また、アトピー花粉症などのアレルギー疾患喘息も胃腸機能低下と関係があるほか、気のエネルギーの低下は血液の流れにも悪影響を及ぼし、極端なことをいえば脳梗塞にもつながりかねません。

 更に、胃腸の栄養代謝機能の低下は、糖や尿酸の代謝にも悪影響を及ぼし、糖尿病痛風(高尿酸血症)の原因の一つとなります。また、栄養の吸収力の低下は貧血や早期の老化不妊症にもつながります。

 胃腸の水分代謝機能低下は、体内に余分な湿気や水垢のようなものが溜まりやすくなるとされ、ノイローゼ不眠からポリープなどの原因となるほか、神経痛にもつながります。

 そのほか数え上げればきりがないほど様々な疾患の大元の原因を探っていくと胃腸機能機能低下につながっていきます。反対にいえば、だからこそ昔から胃腸機能を正常な状態に保つことが重要(専門的には「脾は後天の本」といいます)だったわけです。また、食養生が大事なのは栄養面のみならず、食べ方(季節のものを温かい状態で食べるとか、毎日規則正しい時間に食事をとるとか・・・)が胃腸機能に大きな影響を与えるからです。

 昔は、こういったことは社会常識として広く一般にも知られていた事で、そういった養生をしていても病になったときに、漢方薬や鍼灸などの手を借りるという発想でしたが、現代日本では、日頃の養生がおろそかであるがために病気になっているというパターンが圧倒的に多いです。それも、暴飲暴食などといった誰でもわかるような不養生ではなく、ご本人は何も特別に不養生なことをしていると思っていないケースが殆どだと思います。

 最近では一般の人向けの漢方の本や雑誌の特集号などもよく売れているようですが、「こういった症状や疾患には、こういった漢方薬が効く」と書かれていたとしても、養生の部分の問題と胃腸機能の問題をそのままにした状態では、その漢方処方の効果は半減する(もしくは殆ど効かない)といっても過言ではないです(個人的な経験からいわせてもらえば、現代日本に於いては殆どの疾患に関して、胃腸機能を改善する処方と、胃腸機能低下につながった養生面の改善が必要になります)。

 

2012年4月17日 (火)

アスパラガスの鹹蛋ソースがけ

12039  アスパラガスは、南欧起源のユリ科の植物で、日本では大正時代に北海道で栽培が始まりました。

 当初は、土の中で日光を遮った状態で栽培するホワイトアスパラガスが中心で、刈り取った後も成長が続くため、缶詰に加工され高級食材として輸出されていたそうです。

 成分的には疲労回復効果のあるアスパラギン酸を含むほか、抗酸化作用のある成分(βカロテンやセレン)を多く含み、アルコールによる肝細胞の損傷を防ぐ効果もあり、二日酔いにも良い食材としても知られています。

 また、アスパラガスは中国名を芦笋(ルースン)と言いますが、中国で栽培されるようになったのは清朝末期からで、薬膳的な効能としては主に免疫増強作用~補気作用があるとされています。

 アスパラガスの茎は成長期には1日に数センチも伸びることから、旺盛な生命力を持っていると考えられ(=気のパワーがある)、特に可食部が最も気のパワーを有すると考えられる生長点(茎の先端部分)でもあり、それだけでも貴重な食材とされています。

 現代の日本では、植物の生長点こそ値打ちがあるという感覚が失われてしまっていますが、薬膳的には白菜の芯に近いところやニンジンの頭の部分など生長点と呼ばれる部位こそ最も生命力(言葉をかえれば気のパワー)に富んでいると考えられています(→ 西日本新聞「いのちいただきます」<3>生長点が大事 生きる力取り込んで 参照)

 気のパワーとは、成長発育の原動力ですが、医学的な表現では免疫力でもあり、老化予防効果にも直結するパワーです。科学的に分析してみても、植物の生長点にはビタミン、ミネラルのほかファイトケミカルと呼ばれる物質が豊富に含まれており、そういった成分を摂ることにより人間が元気になるということは、漢方的には気を補うことと同じ事になります。

 

2012年4月13日 (金)

日本の「薬漬け」を斬る

Photo  かなりセンセーショナルな標題ですが、日本の医療現場~特に精神科領域に於ける「薬漬け」について、かなり突っ込んだ内容のものとなっています。

 著者である内海医師(牛久東洋医学クリニック院長、内科医)の精神薬の薬害問題に取り組むボランティア活動を通じた経験を元に、具体的で生々しい日本の精神医療を中心とした「薬漬け」の実態が書かれています。また、内海医師がボランティア活動を通じて意気投合したという東京家政大学教授でもある中村医師(医学博士)との共著となっています。

(内海 聡、中村 信也 著、日新報道、2011年2月発行)

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 日本人は薬好きと言われますが、一人の患者に処方される医薬品の多さは諸外国に比べても群を抜いています。更に、一旦、処方され出すと何時までも同じ薬が漫然と処方され続ける傾向にあります。問題は、医師が決して悪意を持っているわけではなく、日本の医療現場で様々な要因が絡み合ってそういう“空気”ができあがっていることです。

 本書でも医者自身が薬を減らすことを恐れる傾向にあること、ひたすら不安をあおることで視聴率を稼ごうとするマスコミの姿勢の問題、患者側にも薬を飲みさえすれば病気が治るという思いこみ、製薬メーカーの薬をより多く売ろうとする姿勢など、様々な角度から問題点が指摘されています。

 個人的には、日本社会自体がリスクというものを欧米のようにtakeするという考え方が無く、リスクそのものが「存在しないことにする」社会だというのが根本的にあると思います。また、製薬メーカーも現在では巨大化しており、倫理観よりも資本の論理を優先し過ぎる傾向にあるのも気になるところです。簡単にいうと、検査データの正常とされる範囲が変更されたり、学術データに偏りを持たせたりといったことなどです。まあ、そういった不正まがいの事象はそんなに多くはないとは思いますが、現状で製薬メーカーの利益を極大化させる方法は、病気を治す薬を開発する事ではなく、何時までも飲み続ける必要のある対症療法薬の開発であることは確かです。

 また、アメリカの医者は同時に3種類以上の薬を出さないのは副作用が発生したときに患者からの訴訟が怖いからといった話を聞いたことがありますが、日本では、そういったことが多剤投薬の抑制要因になるのはまだ先のような気がします。

 いずれにせよ、現代に於いては「薬が効く」ことと「病気が治る」事は必ずしも一致しない事と、薬には副作用に限らず依存性や習慣性、相互作用、リバウンドなどのリスクがつきものであることが社会全体に認識される必要があり、更に日本特有の問題として、誰がそのリスクをどれだけの割合で負うのかを明確化する必要があると思います。

   

  

2012年4月12日 (木)

プチヴェールの前菜

120329  プチヴェールは比較的新しい品種で、ケールと芽キャベツを掛け合わせたものです。

 ケールの青臭さや芽キャベツ特有の苦味もなく、栄養的にはカルシウムやカロテンなどが豊富で、芽の部分と葉の部分の両方が食べられます。写真は、そのプチヴェールを湯引きにして、オイスターソースがかけられています。

 ところで、ケールといえばキャベツの原種とも言われる野菜で、日本では青汁の原料にもよく使われています。青汁はここ数年ですっかり定着し、ケール以外の野菜や大麦若葉などを原料に数多くの製品があり、値段も様々で、いったいどれが良いのかわからないという意見を良く耳にします。

 CMなどでは、原料の野菜などに、いかに多くのビタミン、ミネラルを含んでいるかなどが強調されますが、問題は製品になるまでの加工工程で、最も安価なものは葉っぱなどを乾燥して粉末にしたものです。問題点としては、野菜の栄養素は固い細胞壁に囲まれており、粉末状にしただけではこれらの栄養素が殆ど吸収されないことです(生の野菜をあまり噛みもしないで食べても同じ事です)。

 次に、絞り汁を原料にしている場合で、こちらの方が価格も高めになりますが、粉末状のエキスに加工する過程で、加熱処理を施したものかどうかがポイントになります。ミネラル類は加熱することによっても失われにくいのですが、野菜に含まれる抗酸化作用を有する酵素(SOD)などは加熱処理することで殆ど効力を失ってしまいます(野菜ジュースなどでも同じ事で、いくら1日に必要な量の野菜を原料にしていても、加熱処理をする過程で、大事な酵素類は殆どが活性を失っています)。

 よって、理想の青汁は、無農薬栽培の原料の絞り汁だけを非加熱加工したものということになりますが、市中に出回っている製品の中では少数派です(値段も高めになります)。

2012年4月 9日 (月)

鴨の舌の前菜

120329  なにやら得体の知れない形をしていますが、鴨の舌です。

 中国語でもそのまんま“鴨舌”と書き、中国では水かきと共に珍しい食材ではありませんが、最近は日本の中華界でも静かなブームになっている食材です。

 日本で舌と言えば牛タンが思い起こされますが、牛や豚の舌と違って鴨の舌は中に薄い骨が入っており、ほ乳類とは舌の構造そのものが違うようです。お味は、牛タンというよりも鶏の砂肝を薄くのばした感じで、見た目の割には可食部は少ないです。

 ところで、漢方の世界では人間のからだの状態は舌にあらわれるとされ、舌の血色や苔の付き方を重視します(→「舌診とは」参照)。舌は、基本的には五臓六腑の「心」とつながりが深いとされ、また、様々な経絡が舌とつながりを持っているため全身の状態を反映しやすく、漢方では体質や疾患を推し量る上で舌の状態を重要視します。

 現代医学でも歯周病など、口腔内の細菌の数や種類によっては、インフルエンザに罹患しやすくなるとか、糖尿病や心筋梗塞、潰瘍性大腸炎の発症率が高くなると言われており、将来的にはこういったデータと舌の状態(特に舌の上の苔の状態:口腔中の細菌と関連性があるとされている)の相関性などが明らかになっていくかもしれません。

   

 

2012年4月 6日 (金)

あさりのニンニク蒸し

120329  あさりは産卵期前のこれからが旬です。

 あさりの身はビタミンやミネラルが豊富で、ミネラル不足の現代人にはぴったりの食材です。

 大昔の貝塚の例を出すまでもなく、昔から日本人にとってあさりは大いに食用にされてきましたし、海に囲まれたこの国ではあさりを始め小魚や海藻類なども豊富に食べられてきたはずで、そういった意味ではデンプン質やタンパク質の不足(カロリー不足)に悩むことはあってもミネラル不足に陥ることはあまり無かったのではないかと思います。

 そう考えると、もともと日本人は、低カロリーかつミネラル豊富な状態を前提とした栄養分の代謝能力が遺伝的に備わっているとも考えられます。そこへ現代の高カロリーかつ低ミネラルの食事が当たり前になることによって、肥満や糖尿病になりやすく、またはミネラル不足からくる貧血や肌荒れ、精神不安などに陥りやすくなっているような気がします。

 因みに、漢方では、あさりの殻を粉にしたものを海蛤粉(かいごうふん)と呼び、清肺化痰作用~肺の熱を冷まして粘稠な痰を除く作用のほか、利水消腫~むくみをとる作用などもあるとされています。

 

 

 

 

2012年4月 5日 (木)

春に吹く風に震えるまぶた

 一昨日の低気圧は正に春の嵐そのものでした。五行説でも春は「風」と関連性があるとされていますが、いきなりの強風には驚かされました。

 ところで、漢方の考え方では身体の中でも風が吹くとされています。もちろん実際にヒューヒューと音を立てて風が吹くわけではないのですが、急にまぶたがピクピクするとか緊張して手が震えて字が書けないといった症状は、あたかもからだの中で風が吹いて木の葉が揺れるように筋肉が震えることから内風(ないふう)と呼ばれています。その他、頭がふらつくとか、めまいなども内風から生じることがあります。

 内風が発生する原因としては感染症で高熱が出たときなどのほか、多くは五臓六腑の肝の陰陽が失調して発生するとされています(肝風内動)。その原因としては老化や貧血、過労などですが、肝は自律神経と関係が深いため、精神的なストレスが背景にあることが多いです。また、内風の症状が発生すると、その症状自体がストレスとなり、更に内風が発生しやすくなったりもします。

 漢方薬としては、内風を抑える熄風作用のある処方が用いられますが、体質改善としては五臓六腑の肝の状態を整える処方が中心になります。蛇足ながら、同じような内風の症状であっても、その人の体質や内風の発生原因によって用いられる処方は異なります。

 

 

2012年4月 3日 (火)

鱈の白子の炒り焼き

201202  

 大きめの鱈の白子をこのように盛りつけると、まるで脳みそのようですが、漢方的には白子=精巣と脳みそは単に見た目の問題だけでなく、共に“精”という物質と深く関連しています。

 人間の老化とは漢方で言う“精”の減少過程を指し、“精”が減少すると男女とも、生殖能力や骨密度が低下し、“精”から生じた髄が集まってできているとされる脳の機能も低下していきます。

 このため老化防止には、“精”を多く含む食品を摂ることが重要となってきます。日本でも栄養価の高い食品を摂ると“精がつく”と言いますが、単に高カロリーとかではなく、薬膳的にみて“精”を補う作用のあるものを摂ることが大事で、なおかつその人の体質にあったものを摂る必要があります(漢方薬と同じです)。

 実は、中華食材で高級食材とされているもの(フカヒレやスッポン、ナマコ、魚の浮き袋など)は、その殆ど総てに“精”を補う作用があるとされています。一方で普通の野菜や穀物、肉類にも“精”は含まれていますが、それらの中から“精”を吸収するためには「良く噛む」「胃腸を冷やさない」「胃腸の消化吸収機能が正常」である事が必要であり、口に入れさえすればいいというものではありません。

 また、食材に関しては「旬の時期」、「養殖ではなく天然もしくは野生」、「加工や冷凍されていないもの」の方が“精”をより多く含みます。