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2009年7月

2009年7月31日 (金)

アヒルの醤油煮

0716  近畿地方の梅雨はなかなか明けそうになく、鬱陶(うっとう)しい日々が続きます。

 さて、この何げなく使っている“鬱陶しい”ですが、梅雨時というか雨が降り続くと何故にそう感じるのかというと、湿気は“気”の流れを邪魔するからです。

 人間が健康でいるためには、まず“気”が全身をスムーズに巡ることが大切ですが、環境因子としての湿気は、胃腸の機能を低下させるとともに“気”の巡りを悪くし、鬱陶しい“気”分にさせられるという訳です。

 更に悪いことに、胃腸の機能低下は全身の水分代謝に悪影響を与え、体内に余分な湿気や水がたまりやすくなり、この湿気が更に“気”の流れを悪くします。

 前置きが長くなりましたが、薬膳的にアヒルの肉には胃腸機能を良くして体内の不要な水分をとる作用があるとされており、この時期にはお勧めの食材です。

2009年7月30日 (木)

宮崎の地鶏料理

 4年ぶりに宮崎に行ってきました。パームツリーの並木が南国ムード満点で、市内の繁華街の香りも気のせいか東南アジアっぽくて、エキゾチックな雰囲気が漂っていました。

0726  市内の橘通にある、「まごころダイニング やまぢ」さんのメニューから、まずは2種類のミニトマトです。

 ミニトマトなんて全国どこにでもありますが、地元でとれた新鮮な野菜ならではのおいしさが感じられました。

0726_2  このお店は宮崎の地鶏、“地頭鶏(じとっこ)”がメインのお店で、まずは刺身の盛り合わせです。

0726_3  続いて、宮崎名物の炭火を使った「もも焼き」です。地元の人に聞くと、昔は地鶏というより卵を産まなくなった廃鶏なんかを使っていたそうで、肉質が硬かったので一口大に切り分けてから焼いたとの話しがあるそうです(左の方に見えているのは、柚子胡椒です)。

                         

0726_4 これまた今や全国的に知られるようになった、南蛮フライです。もともとはまかない料理だったものが、昭和40年頃から宮崎のレストランで一般メニューとして供されるようになったとかで、鶏の胸肉のフライとタルタルソースという組み合わせは、ひょっとしたら世界に通じる味ではないかと思います。

 0726_5

 最後にご紹介するのは、“ぼんじり”の唐揚げです。ぼんじりとは、鶏のテールというか尾っぽのところの脂肪のかたまりです。

 昔は、臭いが強くてあまり食べられなかったと思いますが、近年の養鶏技術というか、精肉技術の進歩によるものか、まったく臭みもなくゼラチンの塊をフライにしたような食感でした。

2009年7月29日 (水)

ハチノスと青唐辛子の和えもの

0716  牛には4つの胃があり、ハチノスは2番目の胃です。よく知られているように牛は反芻動物で4つの胃を使って牧草などを消化しています。

 外から見る限り、牛は草食動物ということになりますが、実は胃(特に最初の胃)の中で牧草を発酵させることによって、食物繊維や微生物の作り出す栄養成分などを取り込んでおり、単純に草だけを食べているというよりは、発酵食品を主食としているわけです(消化液を分泌する胃は4番目の胃だけです)。

 食品を食べさえすれば、あたかもその食品に含まれる栄養素が総て吸収されるかのように思っている人は多いですが、最終的に栄養成分が吸収されるまでには咀嚼、消化液や消化酵素の働き、腸内細菌の働きなど様々な要素が関与します。

 更には、漢方的には同じ人物が同じ物を食べても、その時の環境(湿度が高いと胃腸の機能全般が低下します)や精神的なストレスの有無などによっても、栄養の吸収に違いが出てくる筈です。

 ともすると、食品の栄養価や含まれている成分ばかりがクローズアップされる傾向にありますが、口に入ってからの事をもっと考えるべきだと思います。

  

2009年7月27日 (月)

香魚の醤油煮

0716  香魚とは鮎のことで、えさとなる川藻の影響と言われていますが、体表部が西瓜や瓜にも似たすがすがしい香りがすることからそう呼ばれます。また、「アユ」は中国語でも「香魚(シァンユィ)」で、「鮎」と書けば中国では「ナマズ」を指します(日本でも奈良時代には鮎はナマズを指していたそうです)。

 “占”と言う字を「占い」と考えればナマズと地震の関係などから、「鮎」はナマズの方が合っていそうですが、どうやら“占”は「占い」ではなく「占拠」の「占」で、ナマズもアユもなわばり意識が強い魚であることから「鮎」という字が当てられていたという説もあります。

 さて、アユには骨を丈夫にするのに欠かせないビタミンDとカルシウムが極めて豊富で、骨や歯の健康が気になる方には特にお勧めの食材です。また、最近出まわっている養殖物は天然物のような“香り”には欠けるものの、これらの栄養素はむしろ天然物以上に含まれているという分析データもあります。

 

2009年7月24日 (金)

かっ香正気散

漢方処方解説(12)~かっ香正気散(かっこうしょうきさん)

 かっ香正気散(“かっこう”の“かっ”は「くさかんむり」に「霍」、カッコウは主成分のシソ科の生薬の名前)は、夏かぜによく用いられる処方で、日本に於ける効能は「暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏の感冒」となっています。

 “夏かぜ”といっても、夏に引くかぜは総て夏かぜかというとそうではなく、別の言い方をすれば「おなかにくるかぜ~のどの痛みや咳などの症状よりは、吐き気や下痢、だるさが主体のかぜ」で、もちろん夏場以外でもこのような症状の時には本処方の適応になります。

 もう少し詳しく言うと、普段から胃腸が弱かったり、冷たいものの過剰摂取から胃腸の水分代謝に影響が及び、体内に余分な“湿気”をかかえた状態の方が、冷たいクーラーの風などにあたったり、寝冷えをしてかぜを引いたという時に適した処方です。

 胃腸症状以外の自覚症状の特徴としては、からだがだるいとか胸苦しさといった、“湿気”特有の症状が出ることです。雨が降ると“鬱陶しい”と言うように、もともと湿気には“気”の流れを悪くする作用があるわけですが、環境の湿気だけでなく体内にも余分な湿気をかかえている方は、普段でも(特に午前中は)からだが重だるいとか、どうかすると下痢しやすいといった特徴があり、舌の上の苔も白く厚くなりがちです。特に暑い時期は冷たいビールなどでおなかを冷やしがちで、おなかを冷やすことが胃腸の“水はけ”を悪くするだけでなく、西洋医学的に見ても腸管免疫にも悪影響を与えます。

 この処方は、体内の余分な“湿気”を除いて胃腸の機能や“気”の流れを良くする作用があり、とあるメーカーではこの処方に「勝湿顆粒」という商品名を付けているほどです。また、発熱などが無くても、軟便がちでからだが重だるいというだけでも用いられる処方です。

 最後に蛇足ながら、漢方理論から言うと、かぜだからといって暑い時期には葛根湯のような発汗作用のある処方はあまり使われません。

 

2009年7月23日 (木)

芒果布丁

0623  マンゴー(芒果)プリン(布丁)です。

 マンゴーはインドが原産とされ、からだの余分な熱を冷まし、のどの渇きを抑えるなど正に夏向きの果実です。成分的にもビタミンCやAを豊富に含むことから日焼けが気になる方にもお勧めです。

 そのマンゴーをアイスクリームなどに応用しだしたのは香港やシンガポールだと思いますが、1990年代頃から日本でも知られるようになり、宮崎産のマンゴーなどが有名になるとともに、今では日本でもすっかり定着した感があります。

  ただし、スーパーマーケットなどで売られているマンゴープリンは、香料などの進歩で本物と遜色のないものが並んではいますが、フレッシュなマンゴーに含まれる抗酸化物質や酵素などは殆ど含まれていません。これは、野菜ジュースなどでも同じ事ですが、いくら原料に野菜や果物を使用していても、加工される過程で酵素類は殆どなくなってしまっています。よく、「このジュース1本で1日分の野菜がとれます」といった宣伝文句を見かけますが、栄養表示などに表れない食物の“効能”面からいえば、殆ど詐欺に近い表現だと思います。

 

2009年7月22日 (水)

トマト、キクラゲ、卵麺

0623 一見するとラビオリのようにも見える麺は、シルクロードにつながる“麺の国”、陝西省(省の名前より省都の西安の方が有名)の麺で、味付けもトマトなどが使われてかなり西域っぽいモノになっています。

 よく耳にする話しですが、イタリアのパスタ類は、マルコポーロが中国から伝えたという俗説があります。実際にはもっと古くにアラビア地域を経てヨーロッパに伝えられたという説が有力ですが、いずれにせよ麺類は中国が発祥のようです(中国で言う“麺”とは、小麦粉を練ったもの全般を指しますので、日本でいう麺類のほかにもラビオリや餃子(の皮)、豚まん(の皮)なども含みます)。

 考えてみれば、イタリアのパスタは、中国から伝えられた麺と新大陸からのトマトが出会ったことで、今日の隆盛を築いたわけです。トマトといえば、この写真のメニューでもそうですが、中国では生で食べるよりも玉子と一緒に炒めることが多く、刻んだトマトと玉子の炒めものは家庭料理の代表的なものです。

 トマトは渇きをおさえたり、からだにこもった余分な熱を冷ます作用があるなど夏野菜の代表的なものですが、これらの薬膳的な効能は加熱したからといって無くなるわけではありませんし、加熱した方がトマトに多く含まれるグルタミン酸の旨味も強くなります。

 

2009年7月17日 (金)

健康は「自分自身」の真ん中にある

0716                                

                                        

 今日は朝から大阪最古の幼稚園である中央区の愛珠幼稚園の保護者の方を対象にした成人教育にお呼び頂いて、子供の健康と食育についてお話しさせて頂きました。

 この幼稚園は日本でも3番目に古いそうで、国の重要文化財にも指定されている築100年以上の木造の園舎の中は、周囲のビジネス街とは完全に切り離された異空間のようでした。

 さて、写真は愛珠幼稚園の園長室に掛けてあったものですが、この文章の中で“(「健康」は)「自分自身」のまん中にある”というところを講演の中でも引用させて頂きました。この版画の作者の意図とは少しずれるかもしれませんが、要するに健康でいるためには「からだのまん中」=「御中」=「おなか」が一番大事ですよと言うことです。

 漢方では胃腸機能をつかさどるのは五臓六腑の「脾」であり、にくづきに「卑しい」と書きますが、これは道教の思想からきており、「卑しい」ものが実は「最も貴い」という事のようです。また、ここが弱い人を「脾弱」=「ひよわ」といいます。

 胃腸の重要性についての認識は洋の東西を問わず人類共通であり、西洋でも「ガッツがある」=「勇気や気力に溢れている」という言い方がありますが、この“ガッツ”は“guts”であり、“はらわた”を指します。つまり、胃腸がしっかりしていない奴はガッツが無いということになります。

 ここ何年か食育に関する話しをすることが多いのですが、結局のところ「食べもの」の方にばかり目がいって、口に入ってからの「噛むことの重要性」や「胃腸を冷やすと消化吸収できなくなる」といったことについての考察が抜けている限り、いつまでたっても食の問題は解決しないと言うのが実感です。

 

2009年7月16日 (木)

中国餅と山菜の炒めもの

0623  中国餅~ニェンガオ(漢字では「年」に「米羔」)と根曲がり竹、ナズナ、そら豆の炒めものです。

 韓国のトックにも似た中国餅は糯米ではなく粳米から作られ棒状になったものを薄く輪切りにして炒めものやスープに入れて食べられます。中国では上海の近くの寧波のものが有名で、上海餅と呼ばれることもありますが、炒め料理からお菓子まで様々に応用されています。

 さて、写真の細長いタケノコのようなものは根曲がり竹と言って、5月から6月下旬にかけて北海道や山形県、信州などでとれる細長いタケノコで、アクやえぐみが少なくコリコリした食感が特徴です。中国ではタケノコというとこういった細長いタイプのものが主流になります。

 また、ナズナは春の七草にも数えられ、別名をぺんぺん草とも言いますが、春から初夏にかけて中国(上海料理)でも炒めものなどにされ、独特の香りと食感に人気があります。栄養的にもカロチンや鉄分が極めて豊富で、荒れ地でも生えるだけの生命力の強い食材と言えますし、薬膳的に考えると“気”を補う作用が強いと思われます。

 

2009年7月15日 (水)

肝細胞1000個で“肝臓”の働き

 報道によりますと、東京大学の研究グループの実験で、肝細胞が100個ではただの細胞の集まりにすぎないものの、細胞の数が1000個になるとアルブミンという蛋白質が生成されるようになり、単なる細胞の集まりから“肝臓”としての機能の発現が見られることがわかったそうです。

 もともと、西洋医学では人体を細胞の集合体として考え、個々の細胞までを観察するのに対して、東洋医学では人体の各臓器や細胞はそれぞれ切り離すことができない統一体として考え、あくまで生体全体として捉えるのが特徴とされてきました。今回の実験結果は、細胞が一定の数になった時にある種の“機能”が発現することが確かめられたわけで、反対に言えば肝臓をバラバラに細胞レベルまで分解していくと、たとえそれが肝臓の細胞であったとしても、もはや肝臓としての機能が失われるということになり、生命現象に関して東洋医学的な発想の正しさを支持するものと考えられなくもないです。

 また、生体のもつ“機能”のことを東洋医学では“気”と言い、人体を構成する五臓六腑などをそれぞれ切り離して考えず、あくまで統一体として捉える考え方を生気論と言います。そう言う意味では、今回の実験を東洋医学的な観点から捉えれば、肝臓の細胞の数が1000を越えた段階でそこに“気”が流れ出したと言えます。やがて科学がもっと進歩すれば、その流れ出した“気”を測定することができるようになるかもしれません(実際に、人間の脳波を受信して、思った方向へ動く電動車椅子が開発されたという報道がありましたが、右や左へ行きたいという“思い”は即ち「“気”持ち」であり、受信しているのは“気”であるとも言えます)。

 

 

2009年7月14日 (火)

豚バラ肉と野菜の土鍋煮込み

0623  豚バラ肉とゴーヤー、レンコンなどの土鍋煮込みです。

 夏に土鍋煮込みは不似合いのような気もしますが、はっきり言って食養生的には暑いからと言って物理的に冷たいものを摂るという考え方は間違っています。

 夏の暑い時期にはあくまで、ゴーヤーなど身体の余分な熱やほてりを除く作用のあるものを摂る(食養生的な言い方ですと「涼を補う」)ことで対応すべきで、食べものの温度に関してはあくまで“温かいもの”が基本です。

 日本のように朝ご飯代わりにアイスクリームを食べたり、氷茶漬けなる商品が売られていたりすると感覚が麻痺してしまいますが、暑いからといって冷たいものを食べることは消化酵素の働きを低下させるので消化と吸収に支障をきたします。もちろん、暑さで食欲がない時などは冷麺やざるそばなど冷たいものを食べたくなりますが、食事の最後には温かいスープか味噌汁などを摂って、おなかを冷やしっぱなしにしない工夫が大事です。

 

2009年7月13日 (月)

アイナメと黄ニラの炒めもの

0623  関西ではアブラメとも呼ばれるアイナメは、カサゴやメバルに近い種類で、ぷっくりとした白身が特徴です。

 香港や東南アジアではガルーパとも呼ばれるハタの仲間の魚(石斑魚や紅班魚など)が蒸しものや、写真の炒めものなどに人気がありますが、食感的にほぼ同じ感じがしました。

 さて、低脂肪高タンパクの白身の魚には“補虚益気”作用があるとされており夏バテ対策にはお勧めの食材といえます。栄養学的に言えば白身の魚より焼き肉の方が良いようにも思えますが、それはあくまで焼き肉を食べても胃もたれをおこさないような(胃腸が丈夫な)方にとっての話しであって、夏バテで食欲もなく疲れを感じるような時には胃腸にやさしい白身の魚の方がお勧めです。

 

 

 

2009年7月11日 (土)

宋嫂魚羮

0623  白身の魚(中国では淡水魚の桂魚などですが、写真はスズキ)やジュンサイの入った羹(あつもの)~とろみのあるスープです。

 この料理、今から800年くらい昔の南宋時代に宋五嫂と呼ばれる老婆がひどいかぜを引いた弟のために考案し、時の南宋皇帝に絶賛され有名になったという逸話のある杭州の名菜です。

 高タンパク低脂肪で、なによりもおなかを温め、かぜに限らず病気に対する自己回復力を強める効果が期待できます。

 さて、羹(あつもの)といえば、「羮(あつもの)にこりて膾(なます)を吹く」という慣用句が思い浮かびます。2000年以上前の中国の戦国時代の「楚辞」にある「熱羮に懲りて韲(あえ:生の野菜を和えたもの)を吹く」が元になっているそうですが、現代人がイメージする中華料理とは違って、当時は羮(あつもの)や膾(なます:生の魚や肉の和えもの)など現代の和食のようなものが一般的なメニューだったということです。

 実際に、中華料理の変遷をたどっていくと、現在の“一般的な”中華料理の原形ができたのは大雑把に言って清朝以後のことで、その歴史は意外と浅いものです。また、清朝の時代でも宴会などでは豪華な料理が出たかもしれませんが、皇帝といえども日常的な食事は(考えてみれば当たり前かもしれませんが)からだに負担とならないシンプルなメニューが主体だったそうです。

 

2009年7月10日 (金)

八宝辣醤(パーパオラージャン)

0623_2  ピーナッツやサイコロ状のクワイ、青唐辛子などを文字通り、辣油と醤油で味付けした前菜です。

 ところで、日本では「八」は末広がりで縁起が良い数字とされていますが、中国でも「八」は発展や發財の「発」に通じることから好まれ、北京オリンピックの開会式も2008年8月8日午後8時8分でした。尚、「八宝」の「八」は“八つ”という意味ではなく“たくさん”という意味で使われています。因みに、中華料理で「八宝」といえば「八宝菜」が有名ですが、「八宝菜」というのは日本で付けられた名称で、中国では“炒什錦菜”などとよばれています。

 さて、辣油や唐辛子などの辛いものには「発散」という意味があり、蒸し暑い時期に湿気の影響で滞りがちな「気」の流れを良くするという効果が期待できます。中国でも蒸し暑いことで有名な四川省や湖南省では唐辛子を多用した辛い料理が好まれますが、唐辛子などは刺激がきつすぎるという方には、辛くても胃腸にやさしいハッカやミント類をお勧めします。

2009年7月 9日 (木)

鶏肉団子の百頁包み

0623  写真ではわかりにくいですが、干し貝柱の入った鶏肉でできた棒状の肉団子を百頁(バイイェ:=布豆腐)で包んで蒸したものです。棒餃子の皮を布豆腐に置き換えて蒸したものと言った方がわかりやすいかもしれません。

 同様の料理で、野菜などとともにあんをかけた一品料理もありますが、今回は前菜の一つとして、このままタレもつけずにいただきました。

 ところで、“豆腐”の薬効としては、益気和中(胃腸を整えて気力をます)、生津潤燥(からだに潤いを与える)とともに、清熱解毒作用があるとされており、目の充血などにもよいとされてるほか、ものの本によると“焼酎毒”にも良いという記載があります。

 

2009年7月 8日 (水)

鴨の塩蒸し

0623  中華料理で「鴨」といえばアヒルの事です(正確には日本でいう鴨は“野鴨”で、アヒルは“家鴨”になりますが、食用には専らアヒルなので普通に“鴨”といえば家鴨でアヒルを指します。そもそもアヒルはカモを家畜化したものです。)。

 よくある蒸し鶏(白切鶏)よりも身に弾力があって皮の部分のゼラチン質もしっかりした食感です。

 また、薬膳的には鶏もアヒルも胃腸をはじめからだを元気にする働きがあるとされていますが、鶏は温める作用があり、アヒルは潤いをつける作用があるとされています。専門的にいうと鶏は“陽”を補い、アヒルは“陰”を補いますので、アヒルは胃腸の“陰”が不足している方に良い食材となります(胃腸の“陰”が不足している方の特徴は“唇の乾燥”です)。

 

2009年7月 7日 (火)

マナガツオの燻魚

0623  燻魚(シュンユィ)とは、一度油で揚げてから醤油ベースのタレに漬け、更にもう一度揚げることで燻製のように見えるもので、中華の前菜ではポピュラーな一品です。

 さて、マナガツオは本州中部以南から東シナ海などに分布する外洋性の魚ですが、夏場は産卵のために瀬戸内海などに入ってくることから、今が旬の高級魚として知られています。中国でも潮州料理で両面の皮の部分を煎り焼くか、素揚げにしてマヨネーズソースで食べるという料理がありますが、シンプルな料理ながら高級料理とされています。

 燻魚にしても、その潮州料理にしても、マナガツオならではのしっとりとした身と表面のカリカリ感の組み合わせが絶妙です。

 

 

2009年7月 6日 (月)

ナスの実山椒ソース

0623_2  夏野菜といえばトマトやキュウリなどみずみずしいものを想像しますが、茄子もその90%以上は水分でできており、薬膳的な効能としても、からだにこもった余分な熱を冷ますほか、むくみをとる作用などがあるとされています。

 また、ナスの皮の部分にはナスニンと呼ばれる強力な抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれており、動脈硬化の予防になるといわれています。

 近年の医学的な知見によれば、動脈硬化の原因は、活性酸素による血管の炎症が引き金になっているとされているほか、糖尿病や認知症なども血管の炎症との関連性が指摘されており、血管の炎症を抑える=抗酸化作用のある食べものの有用性が裏付けられています。

 もっと身近な例では紫外線による日焼けも活性酸素によるもので、日差しの強いインド原産のナスに強力な抗酸化作用があるのもなんとなくうなずけます。

 

2009年7月 2日 (木)

臓器移植法案~脳死について

 国会では臓器移植法案の審議が続いていますが、つまるところ「脳死は人の死か」が論点になっているようです。どうやら“臓器移植に限り”脳死を人の死とするという方向で調整が進んでいるみたいですが、誰しも迷うところが大きい問題といえます。

 脳死では人工呼吸器を使用しなければすぐに心臓が停止するとされているものの、脳死後も1年以上心臓が動き続けたという報告もあるようです。反対に脳死を人の死と認めない場合は、いつまでも人工呼吸器をつけたままの状態でいることが人間の尊厳を損なうのではないかという議論もあります。

 また、日本国内の腎臓透析だけでも年間に1兆円ものコストがかかっていたり、国内で臓器移植が進まないので海外で手術を受ける人が増えたりと、脳死が人の死かどうかという議論そのものよりも、とにかく日本国内での臓器移植をすすめたいという“圧力”が大きくなってきていることが反発を招いている部分もあるようです。

 しかしながら、この問題について漢方の立場から考えますと、やはり心臓が動いている限り人の死とは言えないと思います。そもそも、漢方の五臓六腑の中に「脳」は含まれていません。漢方の考え方では、「脳は髄の海」と呼ばれ、“精”という生命の根元物質から生じた“髄”が塊となっているところとされているものの、「脳」の機能としては顔にある目、耳、鼻、口がスムーズに機能するようにコントロールしているところと考えられています。

 あくまで漢方理論では、人間の内臓の中で最も重要なものは“五臓六腑の大主なり”とも“君主の官”とも呼ばれる「心」であり、「心」は西洋医学の心臓(血液を全身に送り出すポンプ機能)の機能の他に、精神神経機能をコントロールしていると考えられています。正に「心」=「こころ」という訳ですが、もうすこし詳しく言うと、人間には「魂(こん)」と「魄(はく)」があり、大雑把に言うと前者は大脳新皮質の部分を担い、後者は大脳旧皮質(本能的な部分)を担っており、この両者をうまくコントロールしているのが「神(しん)~“精神”や“神経”の“神”」であり、それが「心」に宿っているとされています。

 臓器移植が盛んなアメリカでは、心臓移植を受けた患者が、前の“持ち主”の性格や記憶も同時に“移植”されたかのような事例が数多く報告されているそうですが、このことは漢方理論と合致しています。因みに「魂」は「肝」に、「魄」は「肺」に宿りますので、心肺同時移植や肝臓移植では、前の持ち主の性格が移行しやすいのではないかと思います。

 と、ここまで考えてくると、脳死の問題よりも、漢方的に考えた場合、そもそも心臓や肺、肝臓を移植することが許されるのかどうかという問題になってきます。要するにこれらの臓器を移植することは、西洋医学の世界に置き換えた場合、脳を移植することと同じような意味を持つと考えられるということです。脳の移植が現代医学の技術で可能かどうかは知りませんが、一般的な感覚では他人の脳を移植したいと考える人はあまりいないのではないかと思います。