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2010年2月

2010年2月26日 (金)

芽キャベツと干しエビの和えもの

100224 芽キャベツはキャベツの変種で、キャベツそのものより味が濃く、甘みもありますが生では苦みが強いため煮物など加熱して使われることが多い野菜です。

  キャベツは薬膳的には胃腸を丈夫にする働きがあるとされ、胃薬(胃の粘膜修復を助ける)のキャベジンもキャベツから発見された成分です(別名:ビタミンU)。もっとも、薬膳的にというか漢方的に「胃腸を丈夫にする」とは、食べものの消化と吸収に関わる臓腑の機能を高めるという意味で、単純に粘膜を保護するとかいった作用を指すわけではありません。

 さて、キャベツそのものはアメリカのデザーナーフーズと呼ばれるガン予防に効果のある食物の上位にランクされています。また、近年、日本の研究者によって唾液中に発ガン物質を無毒化する作用のあるペルオキシダーゼという酵素が含まれているのが発見されています。よって、食べものをよくかんで(唾液を十分に分泌して)食べることは、それだけでも発ガンリスクを減らすことにつながります。尚、噛む回数については、玄米などでは一口100回とか言いますが、普通の食事では一口30回が目安です。

 

2010年2月25日 (木)

独活、西洋菜、筍の春巻き

100224  春巻きは、読んで字のごとく新春の食べもので、もともと旧正月に野菜を薄餅(パオピン)とよばれるクレープ状のもので捲いて食べる習慣から派生したものです。

 さて、写真ではわかりませんが、この春巻きの具は独活(うど)、西洋菜(クレソン)、筍(タケノコ)が使われています。

 独活(うど)は、食材としてはウコギ科の多年草の若芽の部分が利用されますが、漢方薬の世界では「独活」と書いて「どっかつ」と呼び、セリ科のシシウドの地下部を乾燥させたものを指し、独活寄生湯などの主薬として神経痛などに応用されています。

 また、西洋菜はクレソンのことで、今回は沖縄クレソンが使われていますが、クレソンは肉料理の付け合わせなどに使われるように、消化促進作用があるとされ、中華料理では生で食べるよりも、炒めものやスープなどの浮き身としても応用されています。

 

2010年2月24日 (水)

大根餅とエビ芋、タケノコの炒め煮

100121   大根餅は飲茶の定番メニューのひとつで、中国でも広東や台湾など南の方では正月(もちろん旧正月)には欠かせないものとなっています。

 日本でも正月七日にはすずしろの入った七草粥を食べる習慣がありますが、元を辿れば中国で七種の野菜の羮(あつもの)を食べる習慣が伝わったものとされていますので、すずしろの根っこと米粉の組み合わせである大根餅もそこから派生したものではないかと思います。

 また、米と大根といえば、日本人が長年親しんできた「ご飯とたくわん」でもあり、そう考えていくと大根は日本人には欠かせない食材と言えますし、大根とは何かといえば薬膳的には消化を助けてくれるもので、やっぱり日本人は昔から胃腸が弱かったんだろうと思います。

2010年2月22日 (月)

イノシシとカボチャの炒めもの

100121   イノシシは漢字で書けば「猪」ですが、中国語で「猪」は豚の意味になります。

 言うまでもなく豚は、イノシシを家畜化したもので、日本でも古墳時代には豚を飼育していたそうですが、7世紀以降、だんだんと食肉の習慣がなくなると共に、豚が飼育されることもなくなり、日本では猪=イノシシとなったようです(因みに中国でイノシシは「野猪」とあらわします)。

 さて、写真のイノシシは広島県産の野生のイノシシで、新鮮なせいか臭みもなく、やや歯応えはあるものの豚肉よりはこくのある味わいでした。薬膳的に見た場合、野生のイノシシは豚肉よりも精が強いと言えますが、こういったパワーのある食材を吸収するためには、食べる側にもそれなりの吸収力というかパワーが要求されます。ですから、いくら身体を元気にすると言っても、胃腸が弱い人や体力の無い人には勧められません。現代栄養学に慣らされると食べものは口に入れさえすれば総て吸収されるかのように錯覚を起こしやすいですが、食べものを吸収するためには咀嚼力があって、更に胃腸の消化吸収力が絶対的に必要で、その部分を無視して食べものの成分ばかり分析してもあまり意味のないことです。

 

2010年2月18日 (木)

フォアグラと鴨肝のスープ

100121  フォアグラと鴨の肝をすりつぶしたもので茶碗蒸しのようなものを作り、その上からスープが注がれたものです。

 フォアグラといえば世界三大珍味のひとつで、ガチョウ(カモ科の雁を家畜化したもの)や鴨に運動をさせないでエサを大量かつ強制的に食べさせることで得られる“脂肪肝”です。その歴史は古く、ローマ時代にまで遡るようですが、近年、ヨーロッパでは動物虐待に当たるとしていくつかの国では生産が禁止されています。

 現代に於いては、いかにも高カロリーな食材ではありますが、成分的には動脈硬化の予防にも有益な不飽和脂肪酸の含有量が多く、動物性の脂肪の中ではヘルシーであるとも言われています。

 ところで、時々「肝臓に良い食べものは?」といった質問を受けることがありますが、その人の肝臓の“状況”によってまちまちです。漢方的には肝臓は「血」のかたまりですので、貧血気味で肝臓が栄養失調のような状態になっている場合(肝血虚)や、反対にお酒や高カロリー食などで栄養過多から肝臓に熱がこもっていたりするケースもありますし・・・一概には言えません。前者の場合ですと、レバーを食べると良いとは言えますが、後者の場合ですと、酒や食べものを控える方が良いわけです。

 更に、その方の基本的な体質や、生活環境によっても答えは違ってきます。日本人はどうしても「同質性」に慣れていますので、そういった発想がおきにくいのかもしれませんが、例えば「隣の人が・・・という漢方薬を飲んでよく効いたので、同じような症状なので私も飲みたい」と考えがちです。新薬は症状に対して、あるいは病名に対してある程度用いられる薬が決まってくるので、余計にそういった発想をする方が増えているのかもしれませんが、漢方では、症状や病名は同じでも人間が違えば、安易に同じものを服用しても効くとは限りません。

 

2010年2月16日 (火)

牡蛎と春雨の土鍋煮込み

100121  湯気が濃すぎて見えにくいですが、牡蛎(衣をつけてフライにしたもの)と春雨の土鍋煮込みです。

 中華料理で牡蛎と言えば、生のものは福建省や広東省の沿海部で食べられていましたが、一般的には干物にしたものが用いられていました。ただし、現在では牡蛎を濃縮したオイスターソースは中華料理に欠かせない調味料となっており、そういった意味では中国に於ける牡蛎の消費量は相当なものになると思います。

 漢方の世界では、昔から牡蛎の殻を乾燥させたものを牡蛎(ぼれい)と呼び、上に昇った「気」を下げる要薬として用いられてきたほか、牡蛎肉については明の時代の本草綱目には滋養強壮作用のほか、お酒を飲んだ時のほてりや渇きを改善するとか、お肌のきめを整え、顔色も良くなる作用があると記されています(これらの薬効については現代科学の視点からも牡蛎肉に含まれる豊富なミネラル類が関与していることが確かめられています)。

 日本でも半世紀ほど前から、牡蛎肉の濃縮エキスが健康食品として販売されており、特にミネラル不足から体調を崩しやすい現代人に根強い人気があります。

 

 

2010年2月13日 (土)

くらげと紅芯大根の和えもの

100121  明日14日は、日本ではバレンタインデー一色かもしれませんが、中国(及び中華文化圏)では最大のイベントである春節(旧正月)です。

 日本でも正月にはつきものの食材がいくつかありますが、北京などでは聖護院大根のような外見で、中が赤い紅芯大根が春節には欠かせない食材となっています。

 これは古くから、年が明けると生の紅芯大根をかじって口の中を清めるという風習があるためですが、もともと中国では赤い色(紅色)はおめでたい色とされていることも関係しているのかもしれません。因みに、中国のお年玉である「紅包:ホンパオ」も字の通り赤い袋に入れられるのが普通です(ついでに言えば、香港ドルの100ドル紙幣も人民元の100元紙幣も赤い色をしています)。

 また、紅芯大根は、外見は白くても中は赤いことから別名を心里美(シンリィメイ)と呼ばれ、直訳すれば心根が美しいという意味になります。

 

2010年2月10日 (水)

羊肉と玉葱の香料炒め

100210  中国では肉と言えば豚肉が主で、羊肉は宗教上の理由で豚肉が食べられないイスラム教徒(回族)の間では年中食べられていますが、一般の中国の人にとっては、体を温める作用の強い羊肉は冬の定番食品のひとつです(特に北京など北方で)。

 また、羊肉は臭みが強いため、香辛料がつきものですが、用いられる香辛料もおなかを中心に身体を温める作用のあるものばかりで、余計に体が温まります。更に、ネギやニラ、玉葱も体を温める作用があり、先日テレビで紹介されていましたが日本の動物園で猿にネギを食べさせたら風邪を引く猿が減ったそうです。

 ところで、冬の寒い時期にはからだを冷やさないことが万病を防ぐ上で最も重要であるということは、ちょっと前までは“常識”だったと思いますが、現代社会は暖房設備が行き届いているせいか、そういったことを軽視する方が増えているように思います。また、あらためて、なぜ冷やしたらだめなの?と聞かれても、即答できる人は少ないかもしれません。

 答えは、人間は“恒温動物だから”で、寒い時期は暖かい時期よりも体温を維持するために余計にエネルギーがいるからです。そして、そのエネルギーは、体温維持だけでなく、免疫能力や内臓の機能が正常に発現するためにも必要ですので、寒い時期にからだを冷やしたり、冷たいものを飲むのは健康上マイナスで、また、そういった事を控えるだけでなく、できれば体を温めてくれるようなものを積極的に摂る方が良いです(ただし、汗が噴き出るような激辛食品などは胃腸を傷つけるおそれがある上、汗でからだを冷やすこともありますのであまりお勧めいたしません)。

 

 

 

2010年2月 9日 (火)

ホウレンソウの干しエビソース

100121  ホウレンソウの上に載っているのは干しエビ(蝦米、開洋)を細かく刻んで薬味と合わせたものです。

 さて、ホウレンソウと聞くと、ある年代以上の人にとってはポパイを思い浮かべる方も多いと思います。尤も、未だかつてホウレンソウの缶詰なるものを目にしたことはないのですが、国土が広く生鮮品の流通に難点のあったアメリカではホウレンソウの缶詰は昔から一般的なんだそうです(因みにホウレンソウの原産地は「菠薐」=ペルシャとされています)。

 さて、ホウレンソウはポパイの例を出すまでもなくビタミンやミネラルが豊富な野菜として有名で、特に鉄分を多く含むことから貧血気味の方にはお勧めです。ただしホウレンソウに含まれる鉄分は旬の時期かどうか、また、有機栽培かどうかで倍ほど違ってきます(ホウレンソウは年中出まわってはいますが、言うまでもなく旬は冬です)。

 

 

2010年2月 6日 (土)

若者の味覚~「辛み」から「マイルド」へ

 毎日新聞によりますと、現代の若者は「辛み」「苦み」を敬遠する傾向にあり、マイルドな味付けを好むようになってきたとのことです。

 このため、特に20代の女性を中心に、すし店でさび抜きを注文する若者が増えたり、眠気覚ましのガムも強い刺激が苦手な若者が増え、マイルドな味にしたものが開発されるといった状況のようです。

 マーケティング会社の実施した調査でも、苦みの強いビールや辛いカレーを好まない若い人達が多くなってきているという結果で、若い世代はゲームやインターネットをしながら飲食する「ながら飲食」の傾向が強いせいか、味への関心が薄らいで、味覚が未成熟な状態の人が増えているのではないかと分析しているそうです。

 ちょっと前までは激辛ブームや濃い味のものが好まれる傾向がありましたが、いよいよ日本の若者は行き着くところまで「行ってしまった」ように思います。毎日新聞の記事の中にも、わさびやからしを好まない若者の意見として、香辛料をつけない方が素材そのものの味がわかるからというのが紹介されてましたが、一見、もっともな意見のようですが、今の日本の若者が素材の味がわかるのかという疑問と、それだけの素材のものを日常的に食べているのかと考えると、額面通りに受け取れません。

 漢方的に分析すると、以前流行った激辛ブームというのは、ストレス社会で「気」の巡りが滞りがちな方が増えて、「発散」という作用のある辛いものを好む人が増えたと考えられますが、最近の「辛み」離れはストレスが少なくなったからと言うよりは、専門的には「気虚(ききょ)」と言いますが、流れるべき「気」のエネルギーそのものが少なくなってしまった為に、刺激物の発散作用によって「気」が無理矢理流されると「しんどくなってしまう」んだろうと考えられます。

 基本的に香辛料や、香りの強い食材を嫌う方は、食べもの以外でも香水の匂いで気分が悪くなるとか、お肌が弱くて荒れたりかぶれたりしやすいといった特徴があります。また、「気虚の本態は脾気虚」とされ、五臓六腑では「脾」すなわち胃腸の機能が低下しており、簡単な言葉で表せば「脾弱」すなわち「ひよわ」ということです。

 「ながら飲食」だけではなく、子どもの頃からの「生冷過食」をはじめとした食生活のゆがみが胃腸そのものの機能低下の直接の原因となっており、成長段階で「食の問題」→「胃腸機能低下」→「栄養物の吸収がうまくいかない」→「胃腸にも栄養が回らない」→「胃腸機能低下」という悪循環になって、記事の中のマーケット会社の分析にあるように「味覚が未成熟」というよりは、漢方的な意味で「胃腸機能が未成熟」な若者が増えていると考えられます。

 また、この記事の中で歯医者さんが、若者のこういった味覚の問題は病気とは言えないとコメントされていますが、胃腸機能の低下は、食欲がないとか食後眠たくなるといった自覚症状だけの問題ではなく、貧血や血の道症のほか、花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息などの大きな要因となります。

 

2010年2月 5日 (金)

砂ずりの煮こごり

100121  砂ずりは砂肝や砂嚢とも呼ばれますが、解剖学的には筋胃と呼ばれる部位で、砂や小石と共に強力な筋肉で食物を消化するところです。

 歯が無いニワトリにとって、このパワフルな胃袋は消化のために欠かせない訳ですが、人間も食物を噛まなければ、それだけ余計に胃に負担がかかる事になります。

 というのも、現代日本人の1回の食事に於ける噛む回数は減少の一途で、弥生時代に比べると6分の1、半世紀前から比べても半分程度になっているといわれています。

 食べものそのものがどんどん柔らかくなっている事が背景にあるといわれていますが、食事の際にあまり噛まないことが習慣化されると、胃に負担がかかり胃腸機能の低下だけでなく、漢方的には全身のエネルギーの低下につながると考えられます(→ 「よく噛んで食べる」メリット 参照)。

 何を食べるかも大事なことですが、とにかく食事の際には一口最低30回は噛む習慣をつけることが健康と長生きのためには重要です。

 ところで、漢方の世界では鶏の砂嚢の内膜を乾燥させたものを「鶏内金」と呼び、強力に消化機能を高める作用があるとされるほか、胆石などにも応用されています。

 

 

2010年2月 3日 (水)

黒酢の酢豚

100121  久々に登場の黒酢の酢豚です。(因みに、中国では、酢といえば黒酢が普通ですので、敢えて“黒酢”とは言いません)。

 さて、明日は立春です。五行説では「春は「肝」の季節」で、五臓六腑の「肝」と関係の深い「目」や、「自律神経」、「筋肉」などの症状が出やすくなるとされています。

 また、適度な「酸味」は「肝」の働きを良くするとされていますので、これからの季節、“適度な”酸味を摂ることはお勧めです。尤も、いちごやみかん、トマトなどから梅干し、お漬物なども昔に比べて酸味が少なくなっており、酸味のある食材自体が少なくなってきているのも事実ですが、ストレスフルな方や普段からお酒で肝臓を鍛えている方は特にこれからの季節、多少おいしさに欠けても酸っぱいものを摂られることをお勧めします。

 ついでに言っておきますが、相当ストレスが溜まってくると、今度は酸味のものよりも辛い味のものを欲するようになってきます。それはそれで漢方理論上も理にはかなっています(辛さは発散という意味があるため)が、唐辛子やタバスコなどを摂りすぎると胃の粘膜が傷つきますので、こういった辛いものが好きという方はハッカやペパーミント系のもの(薬膳的に、これらのものは「辛い」味となっています)を摂るようにされることをお勧めします。

 

2010年2月 2日 (火)

教育現場での「食育」の現状

 先日、某県の教育委員会食育推進委員長さんのご講演を聴く機会がありました。今まで学校関係の方達から“漢方から見た食育”といった演題で講演を頼まれたりしてきましたが、教育関係者から食育についての話しを聞くのは今回が初めてでした。

 講演自体は短いものでしたが、まず、学校の教育現場で「食育」の課題と考えられるものとしては

1.豊かな人間形成を目指す

2.生活能力を磨く

3.食文化を継承する

4.健康に生きる知恵を磨く

5.環境の大切さを学ぶ

6.食料自給力を守る

の6つが挙げられているとのこと。

 どれもこれもごもっともなことで、異論を差し挟む気はないのですが、話しを聞いていて、食育そのものよりも食糧自給率を上げる事を通じて日本の農業の振興をはかりたいという事が目的化しているような論調だった事にすごく違和感を感じました。断っておきますが、個人的には日本の食糧自給率を上げる事や日本の農業を振興することに反対する気は毛頭ございませんし、それはそれで大いにやっていただきたいのですが、学校教育現場に於ける食育そのものが“目的”ではなく、日本の農業問題へ目を向ける“手段”として利用されている部分もあるのかなと勘ぐりたくなったのは事実です。

 その証拠に、上に挙げた6項目が記された資料によると、各項目には更にいくつかの課題がそれぞれ記されているのですが、「地産地消」が6つの中でどこに含まれるかというと、何と6番目の「食糧自給力を守る」の中の1項目として挙げられていました。「地産地消」という言葉は、最近よく目にするようになってきて、喜ばしいことだと思ってましたが、こうした利用のされ方で広まっているとは思いもよりませんでした。本来の「地産地消」という言葉の意味からすると「食文化を継承する」もしくは「健康に生きる知恵を磨く」の中に含まれるべき項目ですが・・・その他にも「食文化を継承する」という項目の中の「石油に依存しない暮らし」や「環境の大切さを学ぶ」という項目の中に「フードマイレージ」や「バーチャルウォーター」という項目が並んでおり、具体的なことは書かれていませんでしたが、どれも最終的には日本の食糧自給率を上げようという結論に導かれているだろう事は想像に難くありません。

 日本の食糧自給率が100%になれば、食育の必要性もなくなると言うなら別ですが、こういう事では現場の先生方も混乱するのではないかと思いますし、食育に関して本質的な議論も生まれてきそうにもないと痛感いたしました。

注)“地産地消”とは、言うまでもなく「地元でとれた食材を使いましょう」という事ですが、この言葉の意味するところは、人間は膨大な時間をかけて、その土地で採れるものの中から身体によいものを選別して、食材としてきたし、そういった食材で健康を維持できるような代謝構造を持った個体だけが生き残ってきたわけで、それゆえ、地元で採れる食材を食べる方が身体に良いという意味です。

 反対に言えば、気候や風土が違えば、ある土地に住んでいる人にとっては身体に良いものでも、違う土地の人の身体にも良いという保証はありませんよという事になります。日本の食糧自給率を上げたいのなら、そういった説明をした上で“地産地消”を推進すれば良いものを、食糧自給率を上げないと、いざという時に困るから、地産地消を心がけましょうと言われても説得力に欠けますし、その事と食育に何の関係があるのかがよくわかりません。